線維筋痛症の治し方

線維筋痛症は顎関節周辺に問題有り現在の病院医療ではまだよい治療方法がなく、対症療法にとどまり、それが返って症状の悪化を招いていると思われる病気が多くあります。いわゆる慢性病がそれにあたるわけですが、線維筋痛症もその一つです。

一口に病気と言っても、外傷のように外から見えるようなものやその症状が人々に広く認知されている病気であったならば自分以外の人にもその辛さを理解してもらうことが出来るのですが、この線維筋痛症の場合は、大変辛い症状があるにも関わらず外見上も医学検査上でも何の問題も見つからないというものですから、病院でも患者さんたちの訴えは長年放置されてきたようです。

近年、医学会の研究努力により、これは確かに大変な激痛を伴う中枢感作症候群の一つであるということが理解され、線維筋痛症という病名が付けられたことは大きな前進でした。また原発病巣と思われる部位もほぼ確定できたことは、患者さんたちにとっては喜びであり、心の支えとなっていることでしょう。

線維筋痛症の痛みは和医術では解消しています。
長年心身共に苦しんでこられた方が、病気から開放されています。

心のストレスが体に悪影響を及ぼす回路が出来上がり、それが悪体癖となっている患者さんも多く見受けられますので、体と心の両面からの改善が必要になってきます。

そこで最初に、線維筋痛症の方々に佳秀(和医術院の院長)から一言。
これだけはいつも心に刻みつけていていただきたいと思います。

本当のことを言おう。

人間の体は本来完璧なものなのだ。
元々完成品であるのだから、造った病気は必ず治せる。
慢性病というものは神経系と血液系と「ゴミ」との共同作業によって造られたものだ。
それは今現在も造られているかも知れんな。

でも心配しなくてもいい。
これを解消するためには
神経系と血管系から「ゴミ」を切り離し、温かく溶かして取り除いてやればよい。
神経と血管は元々完成品なのだから、「ゴミ」が消えれば自然と勝手に元に戻るわけだ。

君が心配しなくてもいいのだよ。
治す意志と希望さえあれば造られた病気は自分の力で造り治せる。
これが本当のことなのだよ。

ー『和医術の病理』よりー

では、線維筋痛症が「どうしたら治るのか」「なぜ治るのか」について具体的にお話ししていきましょう。

1,医学的原因解明が進む線維筋痛症

まずは線維筋痛症に関する西洋式医学(病院)の説明を簡略にまとめてみました。

線維筋痛症の一般的な症状
全身の慢性的、持続的に続く広範囲の激しい疼痛を主な症状としています。
●全身のこわばりを伴う。
●症状は朝に悪化することが多い。
●これはリウマチに類似しているがリウマチではない。
●症状は日により差があり、日内変動もある。
●睡眠不足や感情ストレス、激しい運動や逆の不活動、天候・気圧・騒音などの外的環境要因によっても悪化する場合が多い。
●その他多くの随伴症がある。
随伴症はここでは具体的には取り上げませんが、繊維筋痛症が生命に直接かかわることはないとされています。

線維筋痛症の原因に関する病院の見解
●疼痛の部位には明らかな異常が見出せない。
●繊維筋痛症の疼痛は、帯状疱疹後の神経痛、糖尿病性神経障害時の疼痛、がん性疼痛などのような神経障害性疼痛である。
●中枢性疼痛であるから、これは疼痛部位の異常ではなく、痛みの情報伝達経路(神経伝導路)に第一の原因がある。中枢神経の異常によって痛みの回路に異変が起こり、痛みを増幅させていると考える。
●つまり繊維筋痛症は、中枢感作症候群としてとらえている。
●結局のところ、現状では原因は明らかとはなっていない。

病院における線維筋痛症の検査と診断
●一般に行われている通常検査では特別な異常が認められないのが特徴である。
●診断は、全身的な慢性疼痛(3ヵ月以上)に加えて、特徴的身体の部位18箇所の圧痛点のうち11箇所以上に痛みがある時に成立すること。

病院における線維筋痛症の治療手段
●薬物療法:抗うつ剤・抗けいれん薬
●非薬物療法:鍼灸・マッサージ・ヨガ・気功ほかリラクゼーションなどの補完医療

以上が西洋式医学における、線維筋痛症の原因.診断・治療についての一般的な解説です。

今のところ西洋式医学では根本原因や根本療法はわかっていないとは言っていますが、原因については原発病巣が特定されるなど、確定的とも思える素晴らしい研究成果が出ていますし、治療法においても薬物使用は最小限にして代替療法を取り入れているなど、日本の病院医療の中ではかなり進歩的な分野となっています。線維筋痛症に携わっておられる医師は進歩的で研究熱心な方々が多いことがわかります。

他の病気に関するページをお読みいただけばわかる通り、和医術においては、病名が何であれ、症状の原因となっている物質を消すことで治癒に導いています。基本的には、やっていることは肩こりもガンも同じだといえるのです。

これは冒頭に一部記しました「和医術の病理」ゆえなのですが、それでも西洋式医学が積み重ねてきた個々の病気に関する知識と分析力がなければ、和医術もここまで進化してこなかったと思っています。

線維筋痛症も、西洋式医学の研究成果に大変助けられたものの一つです。和医術においては線維筋痛症には3つの大疑問がありました。西洋式医学は、その疑問の答えに確信と裏付けを与えてくれたのです。

和医術では見えないところが、西洋式医学では見える。
反面、和医術で見えているところが、西洋式医学では見えない。

まずはその辺りのことから、話しを始めましょう。

2,和医術から見た線維筋痛症3つの疑問

【疑問その1】
体の各所の疼痛部位には本当に異常がないのか?

和医術としては、疼痛あるところに必ず「ゴミ」あり、と考えています。しかし西洋式医学の解説によると、線維筋痛症の場合、痛みのある箇所には異常がないということです。

【疑問その2】
なぜ激痛・シビレ・けいれん・こわばり等の不快症状が同時多発的に体のあちこちに発現するのか?

和医術的には人体の構造と機能からして納得できる解説も出来ますが、しかし線維筋痛症の場合、どうも何かが違うのです。私にはそこが判然としませんでした。

疼痛のある部位、つまり神経終末以外にも問題点が隠されているのではないか?
和医術の考え方にはまだ足りない点があるのではないか?

と常々思っていました。

【疑問その3】
(疑問その1)(疑問その2)の物理的原因を引き起こした誘因子があるはずだが、それらは何か?

以上が和医術で考える線維筋痛症を克服するための疑問です。これは即、施術に取り組む上でわかっていなければならない、肝腎な点なのです。

ではここから和医術から見た線維筋痛症の3つの疑問について一緒に考えてみましょう。

私の頭の中にある西洋式医学の知識と、和医術における事実との問答形式にしてみました。

3,疼痛部位にも原因物質がある

【疑問その1】
体の各所の疼痛部位には本当に異常がないのか?

質問者:

疼痛のある部分、つまり神経終末部位には、本当に何の異常もないのですか?

西洋式医学:

そう、疼痛のある部位には、明らかな異常は見出せない。だから神経終末にはなんら問題はないのである。

和医術:

疼痛・押圧痛の出る部位には、熟成途上の異常化合物が必ずあります。和医術ではこれを「ゴミ」と呼んでいますが、これが痛み発生のスイッチとなっているのです。ですから、神経終末に異常がないと判断されるのは早計ではないかと考えます。

質問者:

これは最初から意見が分かれてしまいました。西洋式医学としては無いものは無いと考えざるを得ないと思いますが、和医術ではどうしてその「ゴミ」があると言えるのでしょうか?

和医術:

一般の方々にとってはその点が一番の疑問でしょうね。詳しくは和医術とは何か?にも書きましたが、簡単に説明しましょう。

そもそも和医術とは体内の「ゴミ」を手で感知することから始まるのです。体内の「ゴミ」を確認し、溶かして消すことが和医なのです。和医術を多少なりとも訓練した者であれば、誰でも「ゴミ」は感知出来るようになります。鍛錬すれば、肉眼で見ているように詳細に、立体的・動画的に「ゴミ」の全容がこの手で知覚できるのですよ。

皮膚で覆い隠されている体内は肉眼では見えませんが、手の感覚でなら知覚できるわけですから、私は患者さん達に「ゴミ」の状況を絵に描いてお見せしています。

「なぜ痛いのか?」「今日はここの、こういうゴミが消えたから、もう痛くないですよ」などとお知らせしています。

このようなことを言うと、西洋式医学の先生方にはこれはもう非科学的だと言われ、議論もしていただけなくなるといけませんので、少し補足しておきます。

体内の「ゴミ」が「手」で感じられることは、なんら特別なことではありません。もちろん超能力でもマジックでもありません。皆さんが出来ないとしたら、その気になって試みてないというだけのことです。人間であれば、元々誰でも備えられている潜在的本能力であると考えています。使えば使うほど発達する能力の一つです。

ペンフィールドのホムンクルスの例もありますから、「手」が持つ知覚能力がいかに大きいかは、科学的に説明されていることでもあります。日本が得意とする「ものづくり」の世界では、数ミクロンの違いを指先で感じ取る技能を持つ人々がいて、その技能は鍛錬によって得られたものだということは、万人が認めているところです。

我々の心身自体が持つ能力にもっと興味を持って欲しいと声を大にして訴えたいところですが、まあ今は、なぜ「ゴミ」が確認できるかということよりも、痛みなどの悪症状の原因物質は「ゴミ」であるということに注視していただきたいですね。

質問者:

なるほど、先ほど「ゴミ」とは体内異常化合物だとおっしゃいましたが、そのようなものだったら西洋式医学でもわかるはずではないでしょうか?

西洋式医学:

エックス線でもCTでもMRIでもエコーでも、異常なものが写っていなければ異常はないことになる。しかし、コレステロールとか胆石結石とか、骨化などは確認できるな。

和医術:

西洋式医学で「ゴミ」の存在が確認できないのは、私が痛みの原因だと言っている段階の「ゴミ」が、病院で使っている画像診断器機には写らないからです。西洋式医学がもっと「ゴミ」に着目し、「ゴミ」が写る器機を造ろうと思えば、今の科学技術を持ってすれば出来るのではないでしょうか。

痛みの原因になっている段階の「ゴミ」についてちょっと説明しましょう。

「ゴミ」というのは一般にいう老廃物のことですが、老廃物といったり体内毒素と言ったりすれば、これは西洋式医学でもおなじみの物質ですね。

「ゴミ」は排出されずに体内にとどまると、徐々に成熟し、形態を変えていくものがあります。その成熟段階には初期・中期・終末期と段階がありますが、西洋式医学で確認でき対処できるのは主に初期と終末期の「ゴミ」です。それと中期の一部の「ゴミ」も確認されています。

初期段階は分子細胞レベル、中期段階の一部とは血管や胆管などの中空組織内にあるもの、終末期段階は先ほどおっしゃった胆石や結石、石灰固形物や石灰骨化などです。

その他の部分、つまり中期から終末期に至るまでの筋肉皮膜層にある「ゴミ」、これが原因不明と言われる痛みなど悪症状の原因になっている段階の「ゴミ」になるわけですが、これについては、西洋式医学はほとんど着目していません。

線維筋痛症に限らず、筋肉骨格系の痛みの原因には筋膜が深くかかわっていることは西洋式医学でもよく知られているはずです。でも実際の治療となると鎮痛剤やブロック注射という対処・対症療法となっていますね。それは筋膜内の「ゴミ」がたとえ確認できたとしても、それを取り除くこと、または溶解中和する手段が無いから、そこに存在している「ゴミ」を特定する必要はなく、その努力はしていなのです。もし手段さえあれば、「ゴミ」を見ようとしますから、詳細に確認できる機器を開発するはずだと思います。

確認しようとしていないから、見えないだけです。

しかし西洋式医学としては、療法上それでいいということにもなりますね。医学の進歩は検査機器の進歩と言えるくらい最新の画像診断機器は素晴らしいものです。和医術では手の届かない骨に囲まれた内奥にある病巣でも確認できるのですから、和医術にとってもなくてはならないものです。

まあ、そのあたりのことは『和医術相対原理』として、別の機会にお話しするとしましょう。

質問者:

和医術にお伺いします。筋肉皮膜層に「ゴミ」があるとなぜ痛みが出るとお考えですか?

和医術:

これについては和医術ゴミ理論に書きましたので、是非お読み下さい。超簡略編としてごく簡単に書きましたから、どなたにもお解りいただける内容になっています。

人間の体は、骨を支えとして筋肉と皮膚で包まれています。その骨や筋肉は個々に膜で包まれていて、それぞれ別個に仕切られています。「ゴミ」はその膜と膜との間に集まり、流れ、移動するように出来ているようです。

線維筋痛症などの慢性病の痛みというものは、これら膜と膜との間に放出され留まり、滞り、衝突し合った「ゴミ」が、周囲を圧迫し膜越しに神経系・血管系に圧力をかけ、乱調を引き起こすことによるものだと考えています。

その様子を骨格筋を例にとって図に描いてみましたのでご覧下さい。

【図-A1】正常な筋肉皮膜層の状態です。

健康なときの骨格筋

【図-A2】正常な筋束の様子(【図-A1】の断面)です。

健康なときの筋束

「ゴミ」が硬膜や筋肉に発生して堆積をはじめると、筋肉の一番外側にある筋膜と皮膜との間にある「ゴミ排出路」に流れ込みます。この時点ではまだ痛みは発生しません。

「排出路」内に溜まった「ゴミ」の量が増えると、「玉(ぎょく)」や「玉道管(ぎょうくどうかん)」が形成され、それが方々に張りめぐらされるようになります。

【図-A3】「ゴミ」が蓄積し、「玉」が重なり合って堆積しています。

骨格筋に玉ゴミが堆積した様子

【図-A4】「ゴミ」が移動し、「玉道管」が鎖(くさり)のように絡み付いています。

骨格筋に「玉道管」ゴミが絡み付いているいる様子

【図-A5】同じ頃の筋束の周りの状態です。

「玉」や「玉道管」により機能を阻害されている筋束断面の様子

こうなってくると、その部位の筋繊維・筋膜・神経系・血管系が刺激され、あるいは圧迫を受け、正常な働きが阻害されはじめ、4者の情報伝達がうまくいかず混乱を起こします。

【図-B6】ついに神経終末にスイッチが入り、
その結果として痛みの物質が分泌されます。

ついに痛み物質を放出する神経端末

「ゴミ」の形と質、量により圧力の度合いに違いが生じます。その違いにより引き起こされる症状も人それぞれで千差万別ですから、このあたりは和医術にとっては重要なテーマです。

筋肉皮膜層に痛みが出るのは、多かれ少なかれ、このように「ゴミ」が原因なわけです。線維筋痛症の場合でも、患部の「ゴミ」を除去し移動すれば、あるいは溶解すれば、一時的ではあっても痛みは消えていることからも、神経終末である疼痛部位にも異常があると言えるでしょう。

しかし線維筋痛症の患者さんの場合、確かに全身に大量の「ゴミ」があるのですが、他の病気の方と比較すると「ゴミ」の硬度は低く、柔軟ではあるのです。

4,線維筋痛症は『外側翼突筋』を原発病巣とする中枢感作性疼痛だった

質問者:

和医術の「ゴミ」原因説について、西洋式医学的にはどうお考えになりますか?

西洋式医学:

ふむ、言わんとするところはわからぬではないし、そのようなこともあるかも知れないが、これはやはり疼痛部位である神経端末の異常ではなく、痛みの情報伝達路である神経伝達路に第一の原因があると考える。

質問者:

神経伝達路にある原因というのはどういうことなのか、手短に、わかり易くお話し願えませんか。

西洋式医学:

よしわかった。要点だけ話そう。
詳しくはまたにしてくれ。

医学的には、人間の中脳部には、痛みを伝達する際に痛みの感度調整をする機能の中枢があるとされている。

多少言葉が足りんかも知れんが、人体の痛みは脳で統御支配され、調整されているのだから、脳が命令すれば体のどこに痛みが発生してもおかしくはないという理屈になる。

線維筋痛症の場合は、この感度調整機能がうまく働いていないのであろうと考えられているのだ。

実際にどういう状態になっているかというと、神経経路の中に常に痛み信号が流れている状態だ。こうなると健康な人と比較すると痛みの感度が非常に高くなり、より強い痛みとして感じるわけだ。つまり線維筋痛症は、身体全域に渡る痛みの感知過剰状態であり、過過敏状態であると言える。つまりこれが中枢感作性疼痛だということだ。

ではなぜそのような不正機能状態になったのか、ということになるな。

このような症状が起こるということは、中脳の中枢神経から神経終末に至るまでのどこかに、常に痛みを発している原発病巣があるはずなのだ。その病巣から痛みの信号が慢性的に流れ続けているために、それを受け取っている中脳の中枢部では痛みの感度調節がうまくできなくなり、異常をきたしているわけだ。その結果、全身的に激しい慢性疼痛として発症していると考えられるな。

最近、その原発病巣とみられる場所を特定する研究が発表されたよ。確定的ではないが、私としてはほぼ間違いないと思っている。

質問者:

その原発病巣はどこですか?またそこが常に痛み信号を発するようになったのはなぜでしょうか?

西洋式医学:

ふむ、病巣部位は『外側翼突筋』だ。
どこにあるかご存知かな。イラストを見てもらおうか。

【図-B1】

線維筋痛症の原発病巣だと言われる外側翼突筋の場所

【図-B2】

線維筋痛症の原発病巣だと言われる外側翼突筋の場所2

この筋肉は医学的には他とはちょっと違う特殊な筋肉なのだがな、痛み信号はこの『外側翼突筋』から中脳の痛み中枢を構成する三叉神経中脳路核・中脳灰白質へと送られていると考えられている。

さて『外側翼突筋』がなぜ痛みを発し原発病巣となっているかだが、それはまだ解明されてないようだ。

質問者:

それでも『外側翼突筋』への治療方法はあるのですか?

西洋式医学:

線維筋痛症に対しては、痛み信号をブロックする治療が我々西洋式医学の手始めなのだが、この『外側翼突筋』に対する療法も、もちろん開発されてはいる。

でもな、なかなか難しい技術でな。医師なら誰でも出来るというわけにはいかないようだ。まあそういう難点もあるが、かなり効果的な療法だと思うし、実際に治療を受けた患者さんにも評判がいいようだ。

療法名を言っておこう。
「大脳指向型(BOOT)咬合療法」というものだ。

質問者:

原発病巣は『外側翼突筋』だというお話しでしたが、和医術としては今の解説をどう評価なさいますか?

和医術:

いやはや、実に素晴らしい。胸がスク思いで聞かせていただきました。

『外側翼突筋』が原発病巣であろうというのは、和医術の立場から考えてもうなずけます。これはまず間違いのないことでありましょう。

確かに線維筋痛症の患者さんの場合は、頭部・顔面・口腔の痛みなどのトラブルもありますので、顎関節周辺領域への施術も必ず行っていました。それが結果的によかったわけですね。ここに中枢系の原発病巣があったとは、私には考えも及ばないことでした。このような人体のメカニズムを明らかにしていけるところが西洋式医学の素晴らしいところですね。

これは和医術の臨床現場と病理から考えても、符合しているのです。

このイラストをご覧下さい。

【図-C】

線維筋痛症に見られる「ゴミ」の実況

これは普段、私が施術中に観ている頭部から顔面に渡る「ゴミ」の状態です。

頭部・顔面に発生する「ゴミ」の大部分は、上顎と下顎との接合支点となっている顎関節周辺に集合してから、顎の前方、後方へと移動していきます。さらに顎関節周辺は多段階の筋肉層が重なり合う立体交差点になっていますから、「ゴミ」が目詰まりしやすい構造になっているのです。

ここは三叉神経顔面神経などの太い神経が集まっている場所でもありますから、和医術では、眼・耳・鼻、その他顔面・頭部の痛みなどを解消する場合、まず最初に施術するところとなっていまして、この辺りの「ゴミ」の目詰まりを消すことで、多くの病気が解消しています。

線維筋痛症の場合も、もちろん外せない施術箇所です。ほぼ同位置にある『外側翼突筋』が原発病巣とはつゆ知らず施術していましたが、なるほど、『外側翼突筋』の「ゴミ」も多少なりとも消えたはずですから、結果は良好だったわけです。

今後は意識的に最重要箇所として施術していこうと思います。おそらく、より早期に解消できるようになるでしょう。西洋式医学の素晴らしい研究成果に感謝致します。

さて元の疑問であった神経端末の話しに戻りますと、このような中枢感作性疼痛であるとはいえ、なんの不正もない部位のあちこちに痛みが発症するとは、和医術では考えにくいのです。疼痛部位にも「ゴミ」があるのです。現実に「ゴミ」があり、その「ゴミ」を消せばその部位の痛みは消えているのですから、神経端末にも異常があると再度明言しておきましょう。

5,同時多発の原因は「ゴミ」排出路の同時閉塞

【疑問その2】
線維筋痛症の激痛・シビレ・けいれん・こわばり等の不快症状は、なぜ同時多発的に体のあちこちに発現するのか?

質問者:

もうすでに【疑問その2】も含めたお話しに展開していますが、改めてお聞きします。身体のあちこちでなぜ同時に疼痛が出るのか?その理由をどうお考えですか?

西洋式医学:

何度同じことを言わせるのかね。それが中枢感作症候群というものだ。先ほども説明した通り痛みの中枢神経の誤作動だ。

和医術:

おっしゃる通りですね。さしずめ同時多発の首謀者は中脳部であり、手下が向かった犯行現場が「ゴミ」で閉塞した各疼痛個所、首謀者をそそのかしたのが『外側翼突筋』で、その『外側翼突筋』を不良にしたのが「ゴミ」というところでしょうか。

この痛みの同時多発現象については、和医術ではうまく説明できているのです。

「ゴミ」排出路の同時閉塞です。

からだの各所で【図-A3】【図-A4】【図-A5】のような現象が起こっているのです。

病院での診断の際には特徴的身体部位18箇所の圧痛点を調べるらしいのですが、この圧痛点はまさに「ゴミ」排出路の閉塞し易い部位だと考えます。

さて、このような「ゴミ」排出路の閉塞は様々な病気の原因となっているものですが、線維筋痛症の場合の私の感触は、他の病気とちょっと違っています。

どこが違うかといいますと、
線維筋痛症の場合の「ゴミ」は、量は甚大ではありますが、比較的柔軟質で一粒の大きさも小さめです。だから溶解し易い。私の理論からすると、このような「ゴミ」は激痛の出るような性質のものだとは考えられないわけです。

でも患者さんが激痛を感じているのは事実で、施術の後はその激痛が嘘のようになくなる。

しかし施術開始当初は、他の疾患者では見受けられないような強い再発がある。さらに各部位の疼痛は、体表に近い部位の筋膜と筋膜の間、つまり一番大きい「ゴミ」排出路内で発生しているのです。

このような状況で電撃的な痛みが出るはずはない。なんともおかしな現象だ。と頭を悩ませました。

この疑問に答えてくれたのが、線維筋痛症は中枢感作性疼痛である、という西洋式医学の見立てです。これで痛みが増幅されるわけも、同時多発するわけも、再発するわけも、全て説明がつきました。この西洋式医学の指摘は間違いないでしょう。

そして「ゴミ」が原因であることも間違いではありません。

中脳(ピッチャー)と終末神経(キャッチャー)とがキャッチボールをしているということです。つまり拡散力と求心力のキャッチボールです。この意味はまたいつかお話ししましょう。

質問者:

では【疑問その3】に進む前に、今までのところをまとめていただきましょう。

西洋式医学:

またかね。何度も言ったように、原発病巣である『外側翼突筋』から痛みの信号が慢性的に流れ続けているために、中脳の中枢部では痛みの感度調節に異常をきたし、その結果、全身的に激しい慢性疼痛として発症しているということだ。

お、もうこんな時間か。学会があるので、今日はこれで失礼させてもらうとしよう。

質問者:

はい、ありがとうございました。ではあとは和医術のお話しをお聞きしていきましょう。

6,和医術では線維筋痛症をどう治すか

和医術:

西洋式医学の見解は大変参考になりました。ありがとうございました。

線維筋痛症は中脳における痛み感度調節不良が原因であり、神経終末にある「ゴミ」にも原因があります。

中脳部が調節不良となったのは、『外側翼突筋』およびその周辺の三叉神経に原因がありますね。ですから『外側翼突筋』が原発病巣であるという西洋式医学の考えには和医術も同意しています。

では『外側翼突筋』がなぜ原発病巣となったのか、については西洋式医学では今のところわかっていないようですが、和医術の病理からすると、これもまた「ゴミ」によるものです。『外側翼突筋』および周辺の神経系・血管系が「ゴミ」によって締め付けられ、慢性的に圧迫されていることによる不正症状です。

よって和医術の施術手順としては、まず原発部分の「ゴミ」を片付けながら、全身の「ゴミ」を軽減していくという2方向で進める必要があります。そうすることで、今までに増して、早期解決が望めると思います。

このように原発病巣においても、身体全域の疼痛のある部位においても、いずれも同じ「ゴミ」が初発の原因となっているのです。悪化に伴って追加されていく様々な症状も「ゴミ」の成熟、増殖、停滞領域拡大によるものですから、その「ゴミ」を消していけば、やがて全症状は消えて当然です。

このような体内の老廃物である「ゴミ」を溶かし、消すことができる技術が和医術です。

詳しくは和医術とは何か?和医術ゴミ理論をお読み下さい。

質問者:

なるほど、そうですね。なんだか希望と勇気が湧いて来ましたね。では最後の疑問にいきましょう。

7,食いしばりが病巣化の原因

【疑問その3】
[疑問その1][疑問その2]の物理的原因を引き起こした誘因子があるはずだが、それらは何か?

和医術:

そうですね、繊維筋痛症の物理的原因を引き起こした誘因子、つまり体に悪影響を及ぼすほどの過剰な「ゴミ」をつくり出してしまった原因も考えておかなければなりません。この誘因子を消しておかないと、一旦は解消しても、また再発を繰り返すことになりますから、むしろここが一番大切なところと言えるでしょう。

食事の問題等も考慮する必要もあるかと思いますが、過剰な「ゴミ」をつくり出してしまった原因とは、『心が体に与える影響』です。線維筋痛症の方々に限らず、今の日本人全般に共通する大問題ですから、この機会に是非とも自らを省みていただきたいと思います。

線維筋痛症の場合の『心が体に与える影響』の大なるものとして、日常的に習慣化し悪癖となっている体の使い方があります。

それは、心的ストレスを受けた時に自分でも気付かないうちに「肩に力を入れ、歯を食いしばり、息をこらしていること」です。これは『外側翼突筋』が原発病巣であることで医学的にも裏付けられました。

この行為が、上下顎の咬合筋のある『外側翼突筋』と三叉神経に「ゴミ」を溜め、病巣化させた原因です。

一般に、現代人は昔の人に比べてアゴが弱いと言われています。幼少の頃から食べ易い、軟らかいものばかり口に入れ、よく咀嚼もせずに飲み込むような食事が多く、堅いものを噛むことに慣れていないからアゴが弱い。にもかかわらず心的ストレスの多い時代ですので、知らず知らずのうちについつい肩に力が入り、歯を食いしばり、息をこらしています。

仕事や勉強で緊張して一生懸命頑張ることはよい事で、真面目な良い人柄の表れでもあります。しかし同じ緊張でも気を配る緊張ならゆとりが持てるのですが、日本人の特性として、気を使って緊張する人が多い。だからどうしても肩に力が入り、歯を食いしばり、息をこらしてしまう。

このような悪癖が小さい頃から続き慢性化しているものですから、本来あるべき姿勢がわからなくなっているのも仕方のないことかも知れませんが、これではいつの日か必ず痛みや病気として体からのサインが出ることになるわけです。そろそろ悪体癖に気付き、基準に戻しなさいと、自分の体が言っているのです。

「食いしばり」の結果、「ゴミ」は顎関節周辺に停滞して成熟し、周辺の神経や血管に圧力をかけ、その機能を狂わせます。

線維筋痛症に限らず、顔面・頭部・頸部・肩部の痛みや不快感を伴う慢性的疾患も、眼・鼻・耳・口腔内のトラブルも、その誘因は全てこの「歯の食いしばり」に集約されているといっても過言ではありません。

歯茎の腫れも耳の中の痒みも、突発性難聴もメニエール病もどれも顎関節付近一帯の「ゴミ」の仕業です。「食いしばり」は、実に多くの病気を引き起こしているのです。

そこで和医術では、患者さんご自身には、新たな「ゴミ」を出さぬよう、以下のことを実行していただくようにしています。

肩に力を入れない
意識して肩の力を抜く

歯を食いしばらない
食いしばることは悪い癖と認識し、意識して緩める

息をこらさない
意識して息を整える

『心が体に与える影響』を悪いものではなく、良いものとするよう、良い癖づけを意識することが病気治しの第一歩です。

和医術には良い癖づけのための適宜適切な心身調律法があります。

一日のうちで適当な時と場所を考えて、実行されるとよろしいでしょう。

8,ストレスに負けない心と体に戻す方法

質問者:

そう言われれば、私も歯を食いしばっていることがよくあります。これからは意識して緩めるようにしたいと思います。ところで、その心身調律法というのは、どのようなものですか?

和医術:

心身調律法とは、和医道の心身体術で、自律神経と脳波をニュートラルに戻すものですが、それだけでなく、体内の「ゴミ」物質を分解し、二酸化炭素と水に変えて体外に放出させる呼吸法が一体となった体術ですから、顎関節周辺だけでなく体全体の「ゴミ」が減っていき、筋繊維が強化され、弾力のある力強い筋肉を造ることができます。

こんな言い方をするとなにやら難しそうですが、小学生でも簡単にできますし、とても気持ちいいものですよ。無意識のうちにやってしまうほど、癖になるくらいになるとシメタものです。

心身調律法を行っている間の感覚は、和医術の施術を受けているときと同じなのです。

施術中の患者さんは、終始安楽に心地よい気分です。半眠半覚醒の状態で、時折大きなイビキをかいて眠っているのですが、大抵は声を掛けるとすぐに反応されます。縁側で暖かな日に当たりながらうとうととまどろんでいるような状態ですね。

心身調律法を実践していくと、この施術を受けているときの感覚を、自分の身体術で感じられるようになります。

施術を受けているときの感覚とは、体の悪癖によって偏ってしまった自律神経と脳波が、ニュートラル、つまり自然体に引き戻されるときの形式なのだろうと思っています。例えば座禅も同じでしょう。白隠禅師や道元禅師のような高僧が達した境地の感覚にも近いのではないかと思うのです。

実際のやり方は、施術の際、または教室やセミナーなどで、直接お話し致します。

線維筋痛症の患者さんは特に、心身の使い方が凝り固まって、本来あるべき姿からすればとても窮屈になっています。自律神経はいつも緊張状態に偏り脳もヒートアップしている状態ですね。激しい痛みがあるわけですから、これも仕方がないことですが、その痛みは和医術で取れますから、痛みが消えている間に心身の弾力を取り戻す事をお薦めしています。

質問者:

和医術のお話しをお聞きしていましたら、なんだか肩の力が抜けて楽になってきました。病気を治すために自分で出来ること、いえ自分でなければ出来ないことはたくさんあるんですね。心身調律法を是非教えていただきたいと思います。ありがとうございました。
2013-12-02 | Posted in 病名別病気の治し方