顔面神経痛と猛反省と

全身に渡る、全身全霊を傾けた施術でした私は今まで特に専門分野を持たずに施術して参りました。ですから和医術院には、ガンやリウマチも含め、様々な病気を持つ方々が遠路おいでになります。

そんな方々のおかげで多くのことを学ばせていただき、今があるのです。

顔面神経痛とよく似た症状の方は何人かおられました。その中でも確かに顔面神経痛であると判断できる症例はわずかに3名だけでしたが、3名とも治っておられます。

その中の、特に忘れ難い女性のケースをご紹介しておこうと思います。

なんと、顔面神経痛と末期ガンを抱えた方でした。お互いに心を開き、力を尽くし、とうとう難局を乗り越えた実例です。

そしてその後、私が何を猛反省したかをお話ししていきましょう。

1,顔面神経痛と末期ガンの施術経過

Mさん:(当時63歳 女性)

■主訴:
○原発卵巣がんの腹部大動脈前方転移(W40xH50xD38/mm)
○顔面神経痛(右側)
○顔のゆがみ、顔のむくみ、下肢のむくみ、腹水
○両膝、ソケイ部の痛み
○歩行時の息切れ
○背部石灰骨化板

■治療歴
[ガン]
○卵巣がんは手術により摘出
○その後腹部大動脈上に転移。放射線にて破壊するも再発。抗ガン剤で調整するが勢い止まらず拡大傾向にあった。
○東洋医学の治療も平衡して試みていた。

[顔面神経痛]
○歯科医にて神経ブロック注射を繰り返していた。

■顔面神経痛症状(右側)
○物を噛むと痛みが走るので、充分な食事はとれない。
○スープを飲むだけでも時々痛みが走るので、時間を要する。
○洗顔をするのも痛い。手を触れるだけで痛みが走る場合もある。
○右側の頬から口元までが歪んでいる。
○会話もしづらい。

当時の私は体の痛みや不具合などは、いつでもどうにでもなるものと考えていました。それまでの経験からそう確信していたのです。

ですから、この患者さんの場合も顔面神経痛やその他の体の痛みについては、当初は眼中にありませんでした。
顔面神経痛よりも、この切迫した末期状態のガンをどうしたらよいのか…とガンにのみ目を向けていました。

事実、再発ガンの進行状況は病院の主治医もサジを投げていたくらい切迫した状態(これは後で聞いた話しです)だったようです。

しかし、食べられない、話しにくい、顔が歪んでいる…
これではここまで通う気力もわかないだろう…

さて、どこから手をつけたらいいものか…

私も苦慮しました。「命が先か、痛み解消が先か」の選択でした。顔面神経痛とは、心身にそれほどの暗い影を落とす病気なのです。

そこでこう決断しました。

「痛みは精神力を弱らせ、心も迷わせ、生命力を弱らせる。よって顔面神経痛と全身の痛みを解消しつつ、全身の血流を促しながら、ガンを消しにかかろう!」

施術時間配分を痛み取りに50%、ガン周辺および腹部のゴミ消しに50%という方針でスタートしたのです。

しかし私の頭の中は当然、ガンに主眼を置いていたため、ガンについての詳細な施術記録は残してあるのですが、同時進行した顔面神経痛に関してはあまり記録しませんでした。

ですから、この方の場合の顔面神経痛が解消するまでの過程を時系列で解説することは出来ないのですが、記憶をたどりますと、顔面を含め全身の痛みが取れたのは、来院から3ヵ月後位でした。

来院回数は、痛みが取れるまでの3ヵ月間は一週間に平均3回、4ヵ月以降は一週間に2回程度。

そして6ヵ月目には腹部大動脈のガンも消滅していました。

このようなことが実際にあるのです。

肉体的、精神的危機に瀕しても、本人や家族に「治そう!」という気力さえあれば治るものだ、という良い事例でしたので取り上げてみました。

なお、この症例には薬物は一切使用していません。和医術の施術だけです。病院の主治医には経過診断・検査のみご協力お願いし、引き受けていただきました。

2,和医術の猛反省

このように顔面神経痛が治った方々には大変喜ばれはしたのですが、後々になって西洋式医学による発症メカニズムの解説を目にしたとき、私は猛反省することとなったのです。

1、今までに治った顔面神経痛は、たまたま偶然に運よく治ってしまったものばかりだった。
2、痛みを伴う施術をしてしまった。

まさに西洋式医学から「気づき」の鈍器で殴られたわけです。

お陰で足らぬところに気付くことができ、さらに一歩先に進むことができました。

2-1,今までに治った顔面神経痛は、たまたま偶然に運よく治ってしまったものばかりだった

顔面神経痛の治し方でもふれましたが、西洋式医学では顔面神経痛の根本原因を以下のように解説しています。

頭蓋内での出来事であり、それは三叉神経、顔面神経の根元付近に微小血管がからまり、ぶつかり合ったりして神経に血管が癒着・圧迫することが原因である。その結果発症しているのが顔面神経痛である

これは私にとってはまさに青天のヘキレキでありました。
顔面神経痛の第一の原因は、神経終末ではなく、神経の元の方にあったのです。

それまでの私の考え方はこうでした。

顔面神経痛は神経の枝の末端にある神経終末を「ゴミ」が刺激・圧迫するから痛みや症状が出るのである。であるから、痛みや症状の出ている患部一帯、および頭部・頸部のゴミを処理すれば解消するのである

頭蓋内神経の根元の血管圧迫などというところまで私の考えは及んでいませんでしたが、西洋式医学の文献を読むに至った時、ハタッと合点できるところがあり、

これは西洋式医学の解釈の方が正しいぞ!

と直感したのです。
今までの自分の施術方針は間違っていたことに気付かされ、猛反省することとなりました。

それまでの施術を思い起こしてみますと、顔面神経痛を抱える患者さんの場合には確かに、症状が出ている側の顔面・下顎骨の内側から首・後頭骨下部の内腔・頸部付近に至るまで、大きさにして2〜5mm、時折10mm以下の球形の石灰様物質(塩化カルシウム)などの、「ゴミ」が堆積し、「玉(ぎょく)」の粒々が異常に増殖していましたし、大小の「玉道管(ぎょくどうかん)」も張りめぐらされていました。

※「ゴミ」「玉」「玉道管」については和医術ゴミ理論(超簡略編)を参照してください。

ですから実際の施術範囲は、その関連部位を辿っていくと、顔面の「ゴミ」(神経端末のゴミ)だけにとどまらず、結局は後頭骨下部(頸部との接合部)内腔まで拡大し、神経の元の方の「ゴミ」も芋づる式に抜き出して処理せざるを得なかったのです。

しかもこのゴミの甚大なことにはいつも驚くばかりでした。

顔面患部のゴミと繋がっていますから、手間はかかっても処理しなければならないと思い、ゴミを移動させては分解することをいつも仕方なく繰り返していました。

ところが、この仕方なくやっていた施術が幸いして治ったのだと、西洋医学の解説を読んで気付いたというわけでした。

つまり、

頭蓋内神経の根元付近の硬化中の血管に対してゴミによる内圧が常にかかるようになり、血管は次第に歪曲しながら神経にぶつかるようになったことで症状が出ていた。

この血管に対しては施術してないにもかかわらず治ってしまったのは、運が良かっただけだった。頭蓋・顎内腔のゴミを移動し分解することを繰り返し、繰り返し、仕方なくやっていた場所が、まさに西洋式医学が原因があるとする位置の外側だったので、「薬波エネルギー」はその血管および周辺に届いていたから、結果症状が解消されていたのだった。

治ったという結果を出せたのは良かったのですが、自分の計画通りに治せたというわけではありませんでした。たまたま関連ゴミを片付けたことで上手くいっていただけのことに気付かず、やはり終末神経に問題があるだけのことだと思い込んでいたのです。

勘違いも甚だしいことであり、これでは治せたとは言えず、施術家としては大いに反省すべきことでありました。

2-2,痛みを伴う施術をしてしまった

そして私はもう一つ、大きな問題を残していました。
これは和医術にとっては大問題なのです。

和医術では通常、施術中に痛みを出すようなことはなく、むしろ気持ちのよいのが特徴です。

当初の頃は炎症がひどい場合や科学薬物のゴミ沈着物の種類によっては、施術中にも電気的な激痛が発生していました。このような現象は顔面のみならず、全身の部位・局所で起こっていたのです。

しかしこれは技術上の手順の問題であることがわかり、かなり以前に解決済みで、普段は激痛がある場合でも、施術により気持ちのよい状態で徐々に痛みはとれていくようになりました。

ところが、顔面神経痛だけはどういうわけか少なからず痛みを伴ってしまうのでした。

もちろん物を食べたりしたときに発生する電気的な激痛とはランクが異なり、なんとか許せる程度の痛みではありましたし、施術回数が増えるに従って痛みはなくなってはいくのでしたが…

施術中、痛みが出ると私も思い切って施術ができません。

「顔面神経痛の場合だけ、どうして痛みを出してしまうのだろうか…」とずっと疑問に思っていたのです。

3,西洋式医学のおかげで顔面神経痛に対しての正しい技術が生まれた

ここでまた、西洋式医学の解説を読んでハタッと合点できるところがあったわけです。

三叉神経、顔面神経の根元付近の神経に硬化・湾曲した血管がぶちあたりさらに神経を障害し、それが症状となって出ているのだから、神経終末に一定の刺激を加えれば少々とはいえ反射的に痛みが出るのは当然のなり行きでした。

顔面神経痛に対する今現在の施術方針としては以下のようになります。

1、痛みを出さないために、まずは脳幹近くにある神経根元付近のゴミを分解する。
2、次に後頭骨下部内腔・頸部・顎の内腔・首のゴミを抜き取り分解する。
3、患部となっている神経終末のゴミを移動し、分解する。

以上3つの手順で、繰り返し「ゴミ」を片付ければ痛みを伴わず施術できるでしょう。痛みが出ないとなれば私も思い切って施術できますから、治癒に至らしめるまでに時間的にも加速がつきます。

和医術院は顔面神経痛だけの施術院ではありませんので、顔面神経痛の事例は今のところ希少です。

しかし、この療法の良さは体験されれば理解していただけるものと思います。副作用や危険性は一切生じませんから、慢性病治しのよりよき材料の一つとして考えてみられてはいかがでしょうか。

顔面神経痛の治し方和医術とは何か?和医術ゴミ理論(超簡略編)なども是非お読み下さい。ある程度のことはご理解いただけると思います。

2013-12-02 | Posted in 和医術治験例